今朝も冷え込んでいます。
当店にお越しくださったことがある方は
ご存知だと思うんですけど、
事務所は二階にあるんですよ。
ロフトみたいになっているので
下が吹き抜けなんですが、
そのため床が冷えて冷たい!
ホットカーペットか何かがいりますね、これは。
さて皆様、令和2年9月に福島県で発生した
プレジャーボートと湖上浮遊中の家族の
接触事故を覚えておいででしょうか。
猪苗代湖でボートを運転していた佐藤剛氏が
小学生ら3人に衝突して死傷させた事故。
私も夏はマリンレジャーを楽しむ身として、
決して他人事ではないと注目していました。
船を操縦していた佐藤氏ですが、
業務上過失致死傷罪に問われていました。
福島地裁一審では禁錮2年の
有罪判決が出ましたが、
佐藤氏側が即日控訴。
つい先日、仙台高裁で行われた控訴審では
逆転無罪となったことが話題ですね。
事故は令和2年9月6日の午前に発生。
猪苗代湖で佐藤氏が操縦するボートが
湖上で遊泳中だった家族を巻き込み、
当時8歳の少年を死亡させ、
その少年の母親は両脚を切断、
さらに少年の友人男児も重傷を負いました。
これだけ聞いたら佐藤氏が一方的に悪く、
なんで無罪なんだよ?となります。
ただ、この少年らが浮遊していたのは、
遊泳禁止区域だったんですね。
ということは、通常は人が存在しないはずの
エリアでの事故です。
今回佐藤氏が問われている罪状は「業務上過失致死傷」。
これは危険な操縦をしていたかどうかではなく、
「過失があったかどうか」が問われるんです。
具体的に言うと、人がいるのが予見できたか、
事故は回避できたか、などですね。
これを元に考えていくと、
そもそも被害者は遊泳禁止の区域に
浮かんでいたわけですよ。
人がいるはずのない区域に
人が浮いているかどうか予見するのは難しい、
という弁護側の主張が通ったんでしょうね。
佐藤氏のボート、写真で見たんですが、
所謂「パワーボート」と呼ばれるもの。
これね、めちゃくちゃスピードが出るんですよ。
で、操縦席に座ると前(特に下側)は
ほとんど見えないと思います。
さらに、加速中は船体の前側が浮くんですね。
ちょうどY31シーマのタイプⅡリミテッドが
フル加速していく様を思い出してください。
めちゃくちゃケツ下がりになってるでしょ。
あんな感じです。
その状態で、本来なら人がいないはずの区域で
プカプカ浮遊している人間に気付けたか。
ライフジャケットを着用して
湖上に浮かぶ人間は、
頭の部分しか水上には出ません。
波が立っていると、本当にわかりにくい。
これが気付けない=過失はなかった、として
業務上過失致死傷という罪には
問われなかったということみたいです。
8歳の少年がバラバラになって死亡、
生き残ったお母さんも両脚切断、
さらに佐藤氏は周りの人間を口止めして
その後も豪遊している様子を
SNSに自慢げにアップしていた。
こういう状況から、
佐藤氏はなんて酷い奴だ、と
一方的に悪者みたいになっていますけど、
私、これ、亡くなった少年のお父さんも
けっこう過失があると思ってるんです。
というのは、そもそもなぜ少年らが
遊泳禁止区域で浮かんでいたかというと、
お父さんが運転するジェットで
バナナボートか何かを引っ張って遊んでいて、
その順番待ちをしていたらしいんですね。
遊泳禁止区域で遊ぶのもダメですし、
自分たちがジェットでそこで遊ぶということは
他のジェットや船舶もそこを通るということは
予見できた(しなければいけない)はずです。
自分の子供と奥さんを放置してきた水域に
そこそこ大きいパワーボートが接近したなら、
注意喚起のためそこに戻るべきでしょうし。
「なんでそんな区域に子供らを置いていったのか」
と、お父さんも問われるべきです、これは。
お互い、本来は遊んではいけない区域で
遊んでいたために起きた不幸な事故です。
今回、「無罪」という判決を出した
仙台高裁の渡辺英敬裁判長ですが、
「被害者らがかわいそう!」
「佐藤氏は酷い奴だ!」
という感情論に左右されずに、
自らがバッシングを受けることも覚悟のうえで、
しっかりとした判決を出されたと思います。
あくまで「業務上過失致死傷」という
罪に問えるかどうか、という判決ですからね。
ただ、私は決して
佐藤氏を擁護しているわけではありません。
佐藤氏が周りに口止めしたり、
救護すべき対象を放置したこと、
これはいけないことだと思います。
刑事とは別に民事的な賠償はどうなるのか、
という点もありますね。
先に述べたことと重複するのですが、
私もマリンスポーツを楽しむ側として、
決して他人事ではない事故です。
楽しいはずのアクティビティが
悲しい事故になってしまわぬよう、
細心の注意を払わなくてはと
肝に銘じなければいけないと
あらためて思わされました。
それでは、今日も1日、
張りきっていきましょう!